Q119 婦人科細胞診で、直接塗抹法とLBC法の違いについて教えてください。
A119
従来は、直接塗抹法が主体でしたが、近年LBC法(液状化検体細胞診)が普及してきました。その背景には、不適正標本(塗抹時の乾燥、細胞の重なりやムラなど)の回避や精度向上、子宮頸癌の発癌に深く関与するヒトパピローマウイルス(HPV)検査が重要視されていることがあります。直接塗抹法では、細胞採取後直ちにスライドガラスに塗布し、95%エタノールや滴下式固定剤で速やかに固定します。塗抹時に厚さやムラが生じやすく、乾燥しやすいので、素早く固定しなければなりません。
LBC法は、細胞採取後直ちに採取器具を固定保存液の入ったバイアルに入れるため、細胞乾燥はなく、標本作製装置を用いて細胞標本を作製するため、標準化された標本を作製できます。また、HSIL(高度扁平上皮内病変)以上の異常所見の検出率が高まり、細胞診の精度が向上するうえ、同一検体を用いてHPV検査(ヒトパピローマウイルスDNA〈ハイリスクグループ〉)を追加検査することも可能です。
※固定保存液に回収した検体から標本を作製して診断を行った場合には、婦人科材料等液状化検体細胞診加算として、36点を所定点数に加算する。
担当 病理・細胞診係
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