Q93 患者さんの唇に症状がでており、単純ヘルペス(HSV)を疑っています。抗体検査は何法を依頼すればよいですか。
A93
患者さんの唇に症状が出ているということなので、口の周りや顔面などの上半身に発症することの多い、単純ヘルペスウイルス1型の感染が疑われます。そのため、単純ヘルペスウイルス「半定量」1型NT法でDNAウイルスの鑑別診断が可能です。
NT法での検査は鑑別診断(特異性)には優れていますが、検査日数がかかります。検査日数の短いCF法での検査はスクリーニングとしては問題ありませんが、感度が低いため臨床には向いていないと言われています。
単純ヘルペスウイルスの検査法として、EIA法は感度が高く、またIgG・IgM抗体の分別測定も可能なため過去または現在の感染の有無が分かります。
上記抗体検査以外に、FA法を応用した単純ヘルペスウイルス特異抗原定性がありますが、これは侵襲も小さく、病変のHSV感染を証明できる有用な検査となります。また、HSV-1とHSV-2およびVZV(水泡・帯状ヘルペスウイルス)との鑑別も可能です。
*総合検査案内p.58、p.67 をご参照ください。
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